真夜中のドライブ

2003年10月12日
オケの練習場への道、W君の車で大音量でチャイコフスキーの交響曲4番を聴いた。

うちのオケではこのピチカートはそろわない…

チャイコの交響曲で一番難しいのは4番なんじゃないだろうか。
うたい込みをグッと凝ることを考えると6番の悲愴もかなり難しさにはきりがないけど、私達のようなアマチュアオケならとりあえず音符を全部きっちり並べることができるようになるまで…それからオーケストレーションが成り立つようにするにはチャイコの4番はかなり難易度が高い気がする。

それにしてもムラヴィンスキー時代のレニングラード・フィルはすごい。
車の中でこのオケのチャイコフスキーを聴いたのだけど、4番に関してはあの私たちならごまかすしかない細かい音符を、一切ごまかすことなく弾きこなしているのだ。

うーん…あれは本当にすごい。

まず即座に他のオケと異質だと思ったのは、トランペットの音。
最初はやけにベターッとした音であまり好みじゃないと思ったけど、聴けば聴くほど、今までこれだけの音量をキープし続けられるトランペット奏者は見てないな、と思った。
それにトランペットにあんなにヴィブラートがかかるものだっていうことは知らなかった。
まるでオーボエのような吹き方をしている…あのマッチョな金管楽器を。

それから『悲愴』を聴いて驚いたのがヴァイオリンパート。
全員がソリストであるみたいな音色だった。
不思議なことに、人数は8プルトぐらいあるはずだから16人ほどがファーストヴァイオリンを弾いてるはずだけど、音量はものすごいのに、音の質からいってせいぜい5人くらいで弾いてるようにしか聞こえないくらいクリアーな音なのだ。

たぶんあれは、ヴィブラートの幅さえそろえている。
そろいすぎててたまに寒気がした。


私がかなり驚きながら聴いていると、Wが
「ほんとかどうか知らないけど、ムラヴィンスキーは弾けない奏者をシベリア送りにしたらしいよ」と言った。

それを聞いてなんだかとても納得がいった。

まだソ連じゃなくなってからあまり経っていない頃の、アカの色がかなり残っているロシア特有というか…。
共産圏の国はどうしてあんなに「そろえる」ことが得意なんだろう。

だけどこの演奏はかなり奇跡的なものなので、あんな変なマスゲームなんぞと一緒にする気は無い。


+++


帰り道はWが車のライトを忘れてつけたままにしていたので車のバッテリーがきれていた。

JAFに電話をして、おじさんが駆けつけるまでだいたい20分だった。

その後はまた充電をするために一時間ほど走らなければいけなかった。
そのまま話の流れで夜ご飯も食べていくことになり、母にメールでそれを伝えたら「先に寝てるからね」ということだった。

そうなると何時に帰っても同じなので、食べ終わった後、またドライブに行くことにした。

今度はオケの練習場とは反対方向へ…

新宿方向へ向かった。


歌を歌ったりとか、自分たちが過去演奏した曲について語りまくった。

Wとしゃべると必ず最後にはシューベルトの素晴らしさについて語ることになる。

私はシューベルトはオケよりも弦楽四重奏の方がどちらかと言えば好きかもしれない。
「死と乙女」は、弦楽器たったの四つであれほどの広がりを感じさせられるところが本当にすごい。
私はいつも名曲だとたたえている。

あれほどの構成力と、しかもあのメロディーの美しさ…。

「失敗作」が無いベートーヴェンは音楽家の中ではかなり高い位置づけにあるけれど、シューベルトも少し管楽器の使い方が下手だったりすること以外には、決してベートーヴェンにひけをとらないんじゃないかと思った。


あとは自分たちのオケ内では誰の弾き方がどうだとか、批評する会になった(笑)

同じ弾き方というのは、存在しないなとつくづく思う。
100人いれば100人違う弾き方をするのは、ムラヴィンスキーのレニングラード・フィルとは全く異質のアマチュアオケの魅力でもあるんじゃないかと思った。


そんなわけで、真夜中のドライブはなかなか楽しかった。

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